整備が必要と思われる際の症状>新品ジェネレーター交換後でも、火力が安定しない(息切れする)。
タンク内の錆取り処理をする場合、その必要性の判断ですが、モデルの年代、コンディションによりさまざまです。製造から半世紀以上経過しているようなモデルでも、燃料(ケロシン・ホワイトガス)がタンク内に入った状態で保存されていた場合、燃料注入口まわりに多少の錆が見られても、それらが内部まで至っているとは限りません。ひとまずは古い燃料を捨てる際、燃料が錆色、錆の塊が一緒にぼろぼろと出てくる場合などを除き、内部に錆の侵食形跡が見られないような場合は、新しい燃料を1/2ほど入れ、1分ほどタンクをシェークする作業を2〜3回ほど繰り返し、タンク内を洗浄します。よほど悪い状態で保管されていない限り、タンク内錆取り処理を必要とせず、実用することができる場合が多々あります。
さて、上記の方法でタンク内の洗浄・状態を確認後、錆取り処理が必要と判断した場合、もう一度ここで錆の状態を確認してください。具体的には、明らかにタンク内部で侵食した錆の塊がはげ、その塊がぼろぼろと出てきた場合、タンクそのものが錆取り処理をした後に実用に耐えかねる状態かを見極めます。タンク内部を錆でひどく侵食されている場合、外観上では気づかないものの、内部から虫食い状態になっている場合があります。またコンマレベルの非常に小さな針先程度のピンホール(穴)がすでにあいている場合も時折ありますので、実用は避けた方が、後々危ない目に遭うことを防止できます。個人的には、そんなランタン達はこんなリメイクを施し、“実用”したりしています。
前置きが長くなりましたが、錆取り処理をする方法として一般的には、錆取り液(液状・ペースト状さまざま)を利用します。タンク内の錆取りには、液状が向いていると思います。具体的な錆取り液(商品名)は省かせていただきますが、お近くのホームセンターなどで販売している、一般消費者向けのメジャーなものであれば、特に問題はないと思います(*インダストリーレベルのものは、溶解度が高すぎるものがありますので、注意してくだい)。また、錆取り作業は、各部品を分解(チューブアッシーの取り外し他)し、タンク単体の状態にして作業を行うことをお勧めします。
私の場合は、水と混合可能なものを利用していますが、この錆取り液の使用方法にある濃度に対し、さらに倍に薄めた液を、タンク内に2/3ほど入れ、シェークした後、さらに錆取り液をタンク内一杯に入れ、30分ほど放置しておきます。*錆の状態により、放置時間を変動させる場合があります。*この間、タンクからのリーク(穴あきによる漏れ)がないかを確認!
その後、タンク内の錆取り液を取り出しますが、先に1/3ほど錆取り液を取り出し、シェークを再度行った後、すべての液を取り出します。その際、錆色の状態と不純物(錆の塊など)を確認し、必要と思えば、同作業を繰り返します。錆の塊が多く見られる場合は、錆取り液だけでは、きれいに取り除くことができていない可能性がありますので、小さな鉛玉(釣りのおもりなど)など30-40ヶほど適度に入れ、タンクの容量の半分くらいの錆取り液と一緒にシェーク(あまり強く振り過ぎないように)し、もう少し丹念に錆取り処理をします。
上記作業を終え、大まかにタンク内部の錆取り液を取り出したら、次にタンク内部をヘアードライヤー(ヒートガンでもOK)を利用して乾燥させます。ついつい内側のみを乾燥させがちですが、タンクの外側から熱を加えることで、内部を乾かすことが可能です(手順として、ある程度外側に熱を加えた後、内部を乾燥させると、効率よく乾くようです)。
タンク内部が乾燥した後、フレキシブルライトでタンク内部の状態を確認します。錆の発生具合で、その後の状態はさまざまですので、自分で満足行く程度の状態であればよしとしましょう。
《フレーム錆取り・サンドブラスター処理》
必要なツール他:サンドブラスター
サンドブラスター処理とは、砂の微粒子をエアーコンプレッサーで吹きつけ、表面の錆を取り除く方法です。車のパーツの磨きだし、ガラス細工加工などにも利用されていますが、かなり大掛かりな道具のため、なかなか一般家庭で導入することは困難です。近所にある自動車整備工場(主にビンテージカーなどをレストアしているような)があれば、もしかするとお願いして貸してくれる?かもしれませんね。もしお近くにそんな場所が運良くない場合は、"aTTRACTIVE
Glass "にて、対応可能です。
《フレーム錆取り後の再塗装について》
錆取り後の再塗装は、新たの錆の発生を防ぐため、また外観を美しくするためにも、余裕があれば行いたい処理です。簡単な方法として、市販の耐熱スプレー(耐熱プライマー)を利用することができます。下処理として、耐熱プライマーを施すと、ペイントののりが良くなります。プライマー、ペイント共に一度にスプレーせずに、20-30センチほど離した距離から、薄くコーティングをし、乾いたらこの作業を数回繰り返し、仕上げます。一般・速乾性のペイントともに半日ほど時間をおいて、可能であればオーブンで焼きいれをしてあげると、ペイントの持ちが良くなります。
275ランタンのバルブアッシー交換(275A用バルブへの交換)
バルブアッシーの交換に必要な道具は、大きすぎず、小さすぎない程度のモンキーレンチとバイス(万力)があれば完了します。サイズの合わない工具を利用すると、柔らかいブラスネジは直ぐに舐めてしまいますので、注意してください。
まず、上記(↑)の写真のように、ジェネレーターを外した状態にします。その後、ジェネレーターが取り付けられていた真ん中にある六角のネジと、その向こうにあるインテークチューブを止めているやや大きめの六角状のパーツを共にモンキーレンチで緩め、取り外します。
その後、輪状のカラー(フレームレスト)を外すと、上(↑)の写真のような状態になります。
棒状の部分(バルブステム)には、上(↑)の写真で手の平に写っている小さなクリップが、赤い矢印の部分の切り込みの部分に付いているので、このクリップを外します。もともとモデル275に付いていたバルブアッシー本体、そして手の平に乗っている2つのパーツは不要になります。
上(↑)の写真で手前に写っているバルブが、後期モデルにあたる275-Aに取り付けられていた改善版のバルブアッシーです。基本的な形状やサイズは変わりませんが、バルブステムには切込みが無く、また円盤状スプリングも不要となります。手前に見える改善版のバルブアッシーのみを、タンクから外した古いバルブと交換します。
新しいバルブを適切な位置で締め付け、後はカラーを取り付け、元に戻します。念のため、3枚目の写真に写っている古いパーツは不要となる為、元に戻した後はこれらのパーツが手元に残ることになります。
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バルブアッシーをタンクから取り外す際の注意!
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ブラス製のバルブアッシーは柔らかいため、タンクから取り外す際に無理な力や適切な位置で回さないと、簡単に曲がってしまいます。古いバルブは不要となる為、曲がっても問題ないかも知れませんが、こちらにあるような万力を利用の元、取り外すことがより確実、そして何より簡単に外す事ができます。外すときの要領は、バルブアッシーを回すのではなく、万力にしっかりとバルブをはさみ(しかし、はさみすぎに注意)、逆さ状態になっているタンクを時計と逆回しで回し、バルブアッシーを緩めます。
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バルブアッシーの構造
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バルブアッシーは、タンクに入る部分(普段は見えない部分)に、フュエル&エアーチューブと呼ばれる燃料を吸い上げるチューブが付いています。ちょうど、ドクター中〇氏が発明し特許を取ったポンプ(家庭用石油ストーブの石油注入に利用されているポンプ)と同じような役目をするパーツです。
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275ランタンについて少し
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1975年に発売されたモデル275は、取り付けられていたバルブアッシーの不備から、点火時、消化時に火が燃え上がったり、消えなかったりと、トラブルを引き起こすことが度々ありました。これはある意味そのパーツに当たりはずれがあり、同じ275でも全く問題ないものを有りました。その後、このトラブルを改善するべき新しいバルブアッシーが取り付けられたモデル275-Aが登場しました。
しかし、この275-Aに取り付けられていたバルブアッシーも100%トラブルフリーでは無かったようで、モデル275と同じようなトラブルが起きることもあったようです。
参考まで、モデル275に取り付けられていたバルブアッシーの型番は275A6571に対し、その後のモデル275-Aに取り付けられていたバルブアッシーの型番は275B6571です。